この梅、本当に食べられるの!?
梅にはぽつぽつ黒い斑点。黒ずみのある個所も。新鮮なはずなのに、これは何故?
スーパーに並ぶ梅、つるんとしていてとっても綺麗ですよね。これは何故?
この記事を読めば、あなたのお手元にある梅が本当に食べられるのか?
食べても有害ではないのか?
理屈も含めてはっきりと判定できるようになりますよ^^
知ってっと、買い物も調理もめっちゃ気持ちいいかんね。言っとくけど。
梅の黒い斑点・黒ずみの正体は?
梅の黒い斑点や黒ずみの原因として考えられるものには、以下が挙げられます。
梅のぼつぼつや黒ずみの原因
- 黒星病
- 風通しや日当たりが十分でないと発生する病気。蒸れやすい梅雨時期に発生しやすい。雨水でさらに感染拡大する。
- スス病
- 収穫前に雨が続くと発生することが多い。
- 虫食い
- 虫がかじった跡
梅がじめじめした天候の影響で、黒星病あるいはスス病にかかってしまったことに起因するもの。
立地環境や剪定不足等の要因ももちろん影響しますが、梅の収穫時期は梅雨のど真ん中。もはや自然現象・自然作用と言っても過言ではありません。
被害が少ない年もありますが、それはたまたま努力と運が結びついただけ。黒ポチゼロで収穫を迎えられたことなど何十年に渡って一度もございません。
すなわち、無農薬栽培では、多かれ少なかれ黒い斑点がつきものであると言えます。
梅の黒い斑点・黒ずみは身体に悪い?
この黒い斑点や黒ずみは、人体に悪影響を及ぼすこともありませんし、全く汚くもありません。
身体に悪いのではなく、ただ見た目が悪いだけ。
こちらは当園の無農薬有機栽培の梅郷(ばいきょう)という品種の青梅。
こんなにぶつぶつでも、いつもお野菜を洗う時の様に普通に洗えばOKなレベルです。
ちなみに、ゼリー状のものが出ていても、それは梅の分泌物。生理障害など、原因は様々ですが全く問題ありません。
黒い斑点・黒ずみの消し方
黒い斑点、黒ずみが身体に悪くないと分かったって、やっぱり見た目がいい方がいい。
これが現在の日本市場における大多数の意見です。
よって、多くの梅農家の方々は、収穫前にハイターなどの元となる【次亜塩素酸ナトリウム】を梅に噴射し、満遍なく漂白洗浄します。もうこれだけでつるつるの梅が出来上がります!
この手法は、有機JASでも許容範囲とされています。
綺麗な梅の裏にある秘密
見た目が美しくない梅は、市場では全く売り物にならないか、安価で取引されるB級品。
スーパーに卸すことなど現状不可能に近い状況です。
私ども農家は、リスクを負ってまで非効率な無農薬栽培を選択することがとても難しい社会の中で農業に勤しんでおります。
しかし、「皮ごと口に入れる梅なんて尚更無農薬が良いに決まっている!」と信じ、当園は無農薬、そして化学物質を一切用いない有機栽培を頑なに貫いています。
しかし同時に、農薬を完全に否定することはできないと思っています。
農薬の恩恵
- 農薬や化学肥料のお陰で今の生産量が維持できている
- 農薬無しでは口にすることすらできない美味しい果物(品種)が日本には沢山ある
このような側面を考慮すると、現段階で全農家が無農薬有機栽培を行ったとしたら現在の生産量と価格は維持できないのが実情でしょう。ですから、社会全体として農薬は、ある程度必要不可欠なものとも言えるのかもしれません。
決して【農薬=悪】ではないと私どもも思っております。人体には影響がない程度とのことでしっかりとテストを重ね、基準も構築されてますしね。
ただ…..
綺麗な見た目の裏には何があるのか?
それが土壌に、ひいては川に、海に、どのような影響を与える可能性があるのか?
森・川・海は一つ ― 上流の森が荒れ、土中の微生物が消えれば川、海の微生物もまた然り。
私も含め消費者が、正しい情報をしっかりと入手した上で市場を動かせば、これからの農業ももっと違った発展を遂げられるのではないでしょうか。
生産者としては、薬を使わない分やはり病害虫のリスクは高くなりますが、出来る限り自然に寄り添って「身体と環境にやさしい作物づくり」を貫いていきたい。そして、そうしてできた作物本来の美味しさを知っていただきたい。
それも、私どもの使命だと思っております。
初夏になっと、ECサイトでもフレッシュな梅が購入できっかんね。無農薬の梅も簡単に手に入れられっぺー。
本当に傷んだ悪い梅との見分け方
梅は、実際に傷んだ時にも黒い斑点のような、しみのようなものが出るので、しっかり見分けられるようにしておくと良いでしょう。
【梅の見分け方@スーパー編】こんな梅は避けるべし!
- 結露で水滴がたまっている袋に入っている
- 保存状態が悪いため、蒸れて腐っている可能性があります
- へたに白い綿の様なものが付いている
- それはカビ!安全に加工するためにも避けましょう
- 柔らかく張りがない
- 完熟を通り越して過熟状態に陥っている可能性があります。特に梅シロップに使用する青梅は、硬くてパツパツした出始めのモノ程良いです。
- 梅干し用の完熟梅で、黒い斑点やしみの様なものがある
- 完熟を通り越して過熟状態に陥っている可能性があります。悪くなっているものなのか、問題のないものか確認が判断が必要です。
スーパーの梅で、黒い斑点やしみのある梅を見かけた場合には、傷んでいる可能性が高いので注意しましょう。通常、無農薬の梅を販売していることが少ないからです。
もし、無農薬梅だと分かっている場合は、同じ斑点でも、食べるのに全く問題のない病気が原因の可能性が高いです。
ここで問題!どっちが新鮮な無農薬完熟梅かわかっけ?
上の写真が当園の無農薬完熟南高梅です。
こうやって比べてみると、実の張りが全然違うのですぐに分かりますね^^
実際に目の前にしてみると、新鮮な梅は香りも極上。すぐにわかりますよ。
梅をダメにしないための鉄則
折角新鮮な梅を収穫、または入手したのにそれだけで疲労・・・。加工は明日にやりましょうか・・・。
なんてことになった場合、保管には細心の注意を払ってくださいね。
たった一日でも、保管方法によっては梅に大きなダメージを与えかねません。
こんな保存は避けるべし!
- 収穫した梅をそのまま放置
- 季節的に、外に放置するとナメクジの餌に…
- すぐに加工できないのでビニール袋に保存
- 湿気がたまり、カビや痛みの原因になります。段ボール等の湿気の溜まりにくい容器に入れて屋内で保管しましょう
ナメクジをナメっと大変なことになっかんね!
まとめ
いかがでしたか?
もし、既に出来上がっている梅シロップや梅干しに斑点の跡のようなものがあった場合、それは無農薬の梅が使用された証。素材にこだわる料亭等で、見られるかもしれませんよ^^
では、皆様がいつも自信をもって美味しい梅を食べられますように。
時短で効率の良い、失敗しないとっておきの梅シロップや梅干しのレシピあんだ。良かったら読んでくんちょ!