留学生チューター制度ってご存知ですか?私は大学在学中にこのシステムを知り、ある中国人留学生のチューターを2年間経験しましたが、留学生と深く交流することで異文化に触れ、日本あるいは自らを見つめなおすとても良いきっかけとなりました。この記事では、チューター制度の意図やその活動内容、報酬等の詳細、そして筆者のエキサイティングなチューター体験談をまとめました。
チューターとして活動した2年間は、本当に刺激的で、日本猪として考えることが多かっただよ!
留学生チューター制度とは?
⽇本⼈学⽣あるいは先輩留学⽣が、留学生の教育・研究における課外サポートや日本語を用いた生活の支援をする制度です。
とはいえ、留学生によってチューターに求めることは様々。私の場合、担当する留学生と様々な話を共有し、日本人として、そして中国人としての意見交換をするような時間がメインでした。
それは学食であったり、一人暮らし中の我が家であったり、留学生宅であったり。
時には国内を観光しながら。
仕事らしい仕事と言えば、以下ではないでしょうか。
チューターとしての活動履歴
- レポートの日本語チェック(不自然な個所がないか等)
- 日本での生活における疑問点を解消・サポート
実際の所、チューターの仕事内容は、担当する留学生の状況(留学生がどういったサポートを必要としているか)に応じて大きく異なると言って良いと思われます。
言ってしまえば、チューターの仕事が「大変か?大変じゃないか?」は留学生次第。
仕事内容は担当留学生によって違う!?
私が担当した中国人留学生は一つ年上で同性。
「仕事というか、友達になってください!敬語は使わないことにしましょう!」
私自身、初めは仕事の一つとして緊張していましたが、むしろ留学生の彼女が、この一言で私の緊張を解いてくれたのを今でもはっきりと覚えています。
しかも、既に日本での生活は3年目とのことで日本語もとても上手。
え。オラは必要なのけ?って思っただよw
特に中国人留学生は日本に沢山いるので、コミュニティがかなり出来上がっているんですね。つまり、生活にはあまり困らないことがほとんど。
留学生のチューターになって得たもの
しかし、日本という異国に住む留学生にとって、現地人である日本人の友達がいるということがかなり心強いものなのだということ。
その後、自分自身が長期留学することによって、より深く彼女の気持ちを理解することになるのですが…その話はここでは置いておいて。
自分自身も、仕事としてではなく一人の友人として、自然に一緒の時間を共有するようになっていました。
結果、チューターとしての仕事を終え、社会人になっても、一人の友人としての付き合いは続き、実家に連れて行って年末年始を過ごしたり、彼女の故郷を訪ねたり、出産後も家族ぐるみで遊んだり。
チューターという仕事を通して、一人の大切な友人と出会い、沢山の貴重な経験をすることができました。
私としては、これを仕事としてみなしてくれるなんて、この上ない幸せでした。
チューターするならこんな留学生がおすすめ
しかし留学生が異性で、年齢も全然違ってってなると、こんな感じはきっと難しいべな?きっともっと割り切った感じになっと思うんだ~。あとは、日本語や英語が話せるかどうかによってもサポート内容が大分かわってくっかんね。日本語があまり話せないとなると、日本語や生活のサポートがめっちゃ大切で、これがメインになっぺ?留学生次第だべ。
私の場合、チューターの希望を申し出た際、職員の方が留学生とのマッチングをしてくださいました。
もし選べるのであれば、留学生とは同性の方が良いでしょう(チューターをきっかけに付き合うことになり、別れた時に大変だった話を聞いています…涙)。
留学生のチューターするならこんな人がおすすめ
- 同性
- 年齢が近い
- 欲を言えば趣味が合いそう
留学生チューターとしての活動体験談
こうして中国人留学生と好朋友(hào péng yǒu)となった筆者ですが、全く異なる文化で全く異なる教育を受けてきた人と議論をするのはとても刺激的で面白いと感じる反面、難しいと感じる場面も多々ありました。
中国人留学生と靖国神社へ
ある日突然、留学生が『靖国神社に行ってみたい!一緒に行こう!』と言い出しました。
「よし、行こう~♪」とノリノリで引き受けたものの、まさかの初の靖国参拝が中国人留学生と一緒になるとは夢にも思いませんでした。
『なぜ日本の総理大臣は軍国主義に導いたA級戦犯(平和に対する罪に問われている)の祀られている靖国神社を参拝するの?』
『日本はとんでもない過ちを犯した。過去の戦争を肯定しているのか?』
『誤解を招くから分祀すればいい。』
現地でそういった直球質問をいくつも投げかけられ、そういった議論をほとんどしたことがなかった当時の私はかなりアタフタしました。
でも、日本人として何かを守りたいという気持ちが働いた。
『靖国神社には、A級戦犯だけでなく国のために戦って亡くなった沢山の日本人の魂が祀られている。日本を守ろうと命をかけた人々に国民として敬意を表し、感謝することは何も不思議な事ではない。だからといって、首相は戦争を肯定するつもりなど毛頭ない。むしろ二度とこのようなことが起こらない様、過去の過ちを忘れない様、平和な日本を守り続ける様、国の代表が参拝している。』
そんな趣旨の内容を中国人留学生に分かってもらおうと、稚拙な日本語ではあるが一生懸命説明したことを覚えています。
私の歴史的背景知識も乏しく、更にセンシティブな内容であるため、とても神経を使いました。このような討論をする際、思いやりの心が非常に大切になってきますね。それでも、お互い少し感情的になってしまいました。
最終的には、国を守ることが相手の国を攻めることにもなり、そこに沢山の犠牲者がいるということも理解している。どちらの立場でも同じ。戦争とはそういうもの。もう二度と戦争は起こってほしくないね、ということで落ち着きました。
最後まで『日本が悪い』を覆すことはできませんでしたけどね。
この件をきっかけに、『もっと歴史を学ばなくては』『自分の考えを整理しなくては』と強く思ったのでした。
留学生チューターの報酬
留学生チューターの報酬は、大学によって異なる様です。相場としては、1時間約1000円。大学院生には割増で支払われる大学もある様です。
労働時間に制限がある点に注意してください。例えば、『各学期30時間まで』等上限時間が設定されていることがほとんどなので、それ以上活動しても報酬は支払われません。
支払いの際は、活動報告書が必要となります。
20年前は800~900円だったっけなぁ。今は最低時給も大分上がったかんね!時給としてはあまり高くはねーし、活動時間にも制限があっから、稼ぐためにやるアルバイトではねーべ。経験がプライスレスだぁ~!
留学生チューターをする際の注意事項
チューターの仕事をする上で注意が必要なことを以下にまとめました。
留学生チューターをする際の注意事項
- 宗教
- 海外留学生の信仰心のあつさに驚くこともあるでしょう。信仰する宗教による価値観を軽んじるような発言をしないよう気をつけましょう。
- ビジネスの勧誘
- ビジネスに関心をもつ留学生が多い印象です。日本人学生にも言えることですが、怪しいビジネスの勧誘の可能性もあるので、見極めることが大切。気をつけてくださいね。
- 保証人依頼
- いきなり賃貸物件の連帯保証人を引き受けたりすることは避けましょう。大学にフォロー体制が整っているはずなので、まずは大学に相談してもらうよう様に促しましょう。
- 日本を知る、一人の日本人として考えを持つ
- 留学生は、想像以上に日本の政治や文化に興味を持っています。チューターの活動が有意義な知的活動になるかは自分次第。留学生に日本をより深く知ってもらい、良い印象を与えられるかも自分次第。
まとめ
留学生のチューターは、学生時代だからこそできるとても魅力的な仕事。
筆者の優に10を超える数々のアルバイト経験の中でも、自信をもってお勧めしたい学生アルバイトの一つです。チューターとしての活動が、大切な友人との出会い、充実した有意義な知的活動の時間となる可能性は無限大。
皆さん(あるいは皆さんのお子さん)の大学にその制度があるのであれば、是非試してみてください!